後世に生きる者へのメッセージ

昨晩、NHK-BS1で

「スターリングラード攻防戦、60年目の証言」

という番組がやっていました。

ドイツ軍、ソ連軍、それぞれの軍隊にいて直接戦いを経験した人。

軍人の妻、戦場となったスターリングラードの市民。

いろいろな人の証言が、当時の映像と交互に映し出されました。


戦時中、この戦いの様子を伝えるドイツ国内の映像は

たばこをふかし、何か温かいものを飲みながら、余裕で戦っている

という兵士の様子でした。

でも、これは嘘だと、元ドイツ兵は証言します。

戦場は正気の沙汰ではなかったそうです。

極度の緊張、日に日に食料は乏しくなり

兵士は人肉を食べるところまで追い詰められます。

そういう中で戦い生き延びても、負けたドイツ軍の兵士は

次は捕虜。極寒の地シベリアでの捕虜生活です。

どこまでも過酷です。

奇跡の生還を果たした兵士は、母国ドイツに帰ったとき不安だったと言いました。

「あまりにも過酷な環境の中にいたので、

 自分が以前の自分ではなくなってしまったからです」


映像を通して、無数の死体をみました。

「みんなお母さんのお腹から生まれてきたんだよね」

私の脳裏には、累々と積まれた死体、一人ひとりが

温かな場所で、母親に抱かれすやすやと眠る光景が浮かびました。

命への祝福がそこにありました。希望がありました。愛がありました。

人を殺せとは、どの母親も教えなかったはずです。

人に殺されるとは、夢にも思わなかったはずです。

ただただ健康でしあわせに。願いはそれ一つだったのではないでしょうか。

でも、国は戦いに突入し、人の正気を失わせた。

そして今、私たちは「その後の世界」に生きている。

私たちの生活は、この経験を教訓としているだろうか。


極限の環境の中で、ドイツ人軍医がソ連軍のまいたビラの裏に

聖母子の姿を描いたそうです。

鉛筆で描かれたらしいその絵は、「願い」そのものでした。

そして、その絵にはこんな言葉が添えられていたそうです。

「光 生命 愛」


この絵の存在は、戦場のドイツ兵の間で

まるで乾いた草原に火を放ったように広がったそうです。


彼らは身をもって人の心の危うさを教えてくれたのだと思います。

聖母子の姿、そして3つの言葉は

彼らが命とひきかえに残してくれた

「後世に生きる私達へのメッセージ」

なのではないかと思いました。
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by bluebean | 2005-02-12 11:29 | つながり